東京高裁でも不当判決!抗議声明と判決文です

2015年6月4日の東京高裁第二審の一回目では、不当逮捕を指揮した栢木や事件当時フリーター労組の家宅捜索に立ち会った組合員の証人採用を求めました。しかし裁判長の浜秀樹はこれを一切認めず、結審しました。本件に関し重要な証人を一切呼ばない事は、予断に満ちた一方的判決が下される事を意味しました。

そして迎えた9月8日の判決で、控訴棄却・全面敗訴が下されました。法廷は私達の「ふざけるな!証人を採用しろ!」という長時間の怒号に包まれました。判決文は新たな法的判断や憲法的検討は無く、ほぼ地裁判決の引き延ばしにすぎません。私達は最高裁に上告し最後まで闘う事にしました。ぜひご支援をお願いします!

================

麻生邸リアリティツアー事件国家賠償請求訴訟団声明

麻生国賠不当判決を許さない!
違憲審査を回避し司法の責任を放棄した浜秀樹は即刻辞職しろ!

====

麻生邸リアリティツアー事件国家賠償請求訴訟の発端は2008年10月26日のある出来事でした。麻生元首相の62億円するという私邸を見に行こうとして、3名の参加者が違法に逮捕・勾留され、それぞれの自宅とフリーター全般労働組合の事務所が強制捜査を受けた「麻生邸リアリティツアー事件」です。私達は、このような露骨な政治弾圧を受けたまま黙っている訳にはいかないとして、国と都を相手取り、2010年2月26日、国家賠償請求訴訟を提起しました。
一審、二審を通して、逮捕、勾留、家宅捜査の違法性、精神障害者でもある原告Aへの取調べの差別性、そして、東京都公安条例の違憲性を訴えてきました。権力への異議申し立てによる人びとのうねりを「暴徒」と捉え、押さえ込もうとする集団暴徒化論を根拠とする公安条例は、表現の自由を侵害するだけではなく、まがりなりにも民主主義を標榜するこの社会の、主客を逆転させる誤った法律です。このまま放置する事は誰に害をなし、誰に利する事になるのか、いったいこの社会の主役は誰なのか。この間の裁判闘争はそれを司法に問うものでもありました。私達は、多くの先達が、公安条例を違憲であると主張してきた闘いに連なるものだという意識の下、現在の運動全体の課題であるという事を共有しようと、闘いを展開してきました。
一審では、You Tubeで閲覧され続けている逮捕の瞬間を収めたDVDを上映。警察がいかにツアーを襲撃したのかが一目瞭然でした。また、弾圧の下手人である本庁公安二課山口悟、渋谷署地域課嶋野伸一、渋谷署警備課長宇井秀三(いずれも当時の職位)の3名を法廷へ引きずり出し証人尋問を行ないました。また、原告証人尋問も、事件の不当性、取調べの差別性を生々しく描き出したものでした。
にもかかわらず、東京地裁の判決は極めて不当であり、政治的なものでした。
谷口園恵裁判長により書かれた判決文は、被告である国と都の主張をそのままなぞっただけのものであり、三権分立を謳うこの国の司法機関としての責任を放棄し、行政に擦り寄り媚びへつらい、誇りも何も無い傀儡そのものという、その醜い姿を恥ずかしげもなく自ら晒すものでした。
私達は東京高裁へ即時控訴しました。事件の重要人物であるにも関わらず、未だ法廷で証言をしていない本庁公安二課長栢木國廣(当時)、及びフリーター労組への不当な家宅捜索の際に立ち会っていた組合員への証人としての採用を求めました。しかし、浜秀樹裁判長は私達の求めを退け、たった一回の期日を以って結審としたのです。法廷は長時間怒号に包まれました。浜裁判長は退廷命令を出すこともできずただ立ち尽くすのみでした。
東京高裁の判決は、その姿勢も精神も、一審判決を丸写ししたものでした。
一審の判決文中にあった「本件条例の適用が合憲とされるのは集団行動によりほかの法益が侵害される明白かつ現在の危険が存在する場合に限られると解することはできず、このような限定解釈を前提として適用違憲をいう原告の主張も採用することができない」。私達は、ここに示されている「明白かつ現在の危険」という、表現の自由の違憲審査基準について争い、問うたのですが全く触れられませんでした。
そして、私達は最高裁判所へ上告しました。
司法が腐敗し憲法の価値が損なわれ続けている事は、一審二審と不当判決を受け続けてきた私達自身も、身をもって実感するところです。しかし、私達は、最後の最後まで闘い続け、司法の腐敗を白日の下に晒し続ける事を選びました。権力と徹底的に対立し、言いたい事については1ミリたりとも譲らない、これを貫き通します。同時にこの闘いを教訓化し、歴史的に刻む取り組みを行なっていきます。
表現の自由を、人びとものである路上を、そして社会を取り戻す為に、公安条例撤廃の闘いはまだまだ続きます!

2010年1月10日
麻生邸リアリティツアー事件国家賠償請求訴訟団

———-

判決

本件各控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人らは,控訴人組合に対し,連帯して100万円及びこれに対する平成20年11月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被控訴人らは,控訴人園に対し,連帯して100万円及びこれに対する平成20年11月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 被控訴人らは,控訴人渡邊に対し,連帯して100万円及びこれに対する平成20年11月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5被控訴人らは,控訴人武井に対し,連帯して100万円及びこれに対する 平成20年11月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
1 本件は,下リアリティーツアー62億ってどんなだよ。麻生首相のお宅拝見」と題して企画された催しに参加した控訴人園,控訴人渡邊及び控訴人A(以下では併せて「控訴人3名という。)がそれぞれ集会,集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和25年東京都条例第4 4号。以下「本件条例」という。)違反又は公務執行妨害を被疑事実として現行犯逮捕された上で勾留されたこと,控訴人Aに対してその人格権等を侵害する取調べがされたこと並びに上記被疑事実により控訴人組合の事務所において捜索差押えがされたことが違法であるとして,控訴人らが,上記の逮捕,取調べ及び捜索差押えをした警察官が所属する被控訴人東京都並びに勾留状及び捜索差押許可状を発付した裁判官が所属する被控訴人国に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として,それぞれ10 0万円及びこれに対する逮捕後の捜索差押えの日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原審が控訴人らの請求をいずれも棄却したところ,控訴人らが本件各控訴 をした。
2 本件における前提事実,本件条例の定め,争点及びこれに関する当事者の主張は,当審における控訴人らの補充主張を後記3のとおり加えるほかは,原判決の「事実及び理由」中「第2 事案の概要」の2から4に記載のとおりであるから,これを引用する。
3 当審における控訴人らの補充主張は,以下のとおりである。
(1) 本件条例は,集会,集団行進及び集団示威運動を一般的に制限するものであるところ,許否の規準は不明確であり,集団示威行進等を許可する際に公安委員会において条件を付与する権限を幅広く認めていて,不許可や留保された場合の救済手段を設けていないから,本件条例は憲法21条に 違反して無効であり,本件条例を合憲とする判例は変更されるべきである。
(2) 本件では,本件条例が想定するような集団がなく,これを指揮煽動するような控訴人園の行為もない。麻生首相に批判的な意思が共有されていることから直ちに集団と認めるべきではない。
(3) 控訴人園の逮捕勾留の違法性に関して,ツアー参加者らを上回るほどの警察官が控訴人園らを包囲し,ツアー参加者らは警察官の誘導に従って歩 道上を平穏に歩行していたから,控訴人園の行為には可罰的違法性がない。
(4) 控訴人渡邊及び控訴人Aの逮捕勾留の違法性に関して,原判決は体当たりをする形となった事実を認定するけれども,かかる認定では両名の意思に基づかずに体当たりをする形となった可能性があるから,被疑事実の認定として十分なものとはいえない。
(5) 控訴人武井に対する取調べの違法性に関して,同人が再現した取調べの内容に照らせば,黙秘権を侵害し,転向を強要するものであり,同人の人格権を侵害するものであった。
(6) 本件捜索差押えの違法性に関して,仮に控訴人園らの行為が犯罪の構成要件に該当するとしても,公道上で行われた行為であり,多数の警察官が現認していたのであるから,捜索差押えを行う必要性はなかった。控訴人組合が連絡先となったイベントにおいて条例違反等が生じたというだけで,控訴人組合の事務所を捜索して本件パソコンを丸ごと押収した行為は明らかに必要性を欠くものであった。

第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,控訴人らの請求はいずれも理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は,当審における控訴人らの補充主張に対する判断を後記2のとおり加えるほかは,原判決の「事実及び理由」中「第3 当裁判所の判断」の1から5に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決の14頁8行目「現代表者。」を削る。)。
2(1) 控訴人らは,原審と同様,本件条例を合憲とする判例は変更されるべきであると主張して,本件条例の運用に対する不満等を挙げるけれども,控訴人らの指摘する事情を見ても,本件条例についての判例を変更すべきものは見当たらず,控訴人らの主張を採用することができないことは,上記のとおり引用した原判決の説示するとおりである。
(2) 控訴人らは,歩道を5,6人ずつ歩行していたにすぎない,スクラムやシュプレヒコールはしていないなどとして,本件条例が想定するような集団がないと主張する。しかし,認定事実によれば,ツアー参加者らは本件ツアーが麻生首相に対する批判や問題提起を目的とするものであることを公共の場所で表明した上で,その目的を実現するために公道を集団で歩行していたのであり,歩行中も,控訴人園において麻生首相の政治家としての責任を問題とする意見表明をし,他のツアー参加者らと一緒に本件ツア一への參加を不特定多数の通行人等に呼び掛けていたというのであるから,本件ツアーは本件条例1条にいう集団示威運動に当たるといえ,他にかかる認定を覆すべき証拠はない。
また,控訴人らは,本件条例が想定するような集団がなく,それを指揮煽動するような控訴人園の行為もないと主張する。しかし,本件ツアーが本件条例1条にいう集団示威運動に当たるといえることは上述したとおりである上,認定事実によれば,控訴人園は,本件ツアーの出発に際しては,率先してチラシの配布やマイクを通じた発言をして本件ツアーへの参加を呼び掛け,横断幕を持って歩き出すようツアー参加者らに促しており,出発後も,先頭に立って進行方向を示すとともに,上記のような意見表明をしながら本件ツアーへの参加を呼び掛け続けていたというのであるから,同人は本件条例5条にいう集団示威運動の指導者及び煽動者に当たるといえ,他にかかる認定を覆すべき証拠はない。
したがって,ごれらの控訴人らの主張は採用することができない。
(3) 控訴人らは,ツアー參加者らを上回るほどの警察官が控訴人園らを包囲し,ツアー参加者らは警察官の誘導に従って歩道上を平穏に歩行していたから,控訴人園の行為には可罰的違法性がないと主張する。しかしながら,無許可の集団行動はそれ自体実質的違法性を有するものというべきであることは,上記のとおり引用した原判決の説示するとおりである上,認定事実によれば,控訴人園は,警察官から再三警告を受けながら,集団示威運動の指揮煽動をしていたというのであって,控訴人らの主張はその前提とする事実関係を異にするものといわざるを得ないし,他に可罰的違法性を否定すべき事情も見当たらないから,控訴人らの主張を採用することはできない。
(4) 控訴人らは,控訴人渡邊及び控訴人Aの逮捕勾留の違法性に関して,原判決は体当たりをする形となった事実を認定するけれども,かかる認定では両名の意思に基づかずに体当たりをする形となった可能性があるから,被疑事実の認定として十分なものとはいえないと主張する。しかしながら,認定事実によれば,控訴人渡邊及び控訴人Aは控訴人園に近づこうとしてそれぞれ宇井警部又は嶋野巡査部長に体当たりをする形となったというのであるから,被疑事実である公務執行妨害の認定としては十分であって,控訴人らの主張は,認定事実のうち一部のみを取り上げて論難するものにすぎず,採用することができない。
(5) 控訴人らは,控訴人武井に対する取調べの違法性に関して,同人が再現した取調べの内容に照らせば,黙秘権を侵害し,転向を強要するものであり,同人の人格権を侵害するものであったと主張するけれども,その具体的な根拠は原審と同様の主張を繰り返すものであり,かかる主張を採用することができないことは,上記のとおり引用した原判決の説示するとおりである。
(6.) 控訴人らは,本件捜索差押えを行う必要性はなかった,本件パソコンを丸ごと押収した行為は明らかに必要性を欠くものであったと主張するけれども,その具体的な根拠は原審と同様の主張を繰り返すものであり,かかる主張を採用することができないことは,上記のとおり引用した原判決 の説示するとおりである。

第4結論
以上より,控訴人らの請求はいずれも理由がないから棄却すべきものであり,これと同旨の原判決は相当である。
よって,本件各控訴はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第15民事部
裁判長裁判官 浜秀樹
裁判官 波多江真史
裁判官 髙田公輝